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近年日本でも最も行われている脂肪由来幹細胞治療の導入費用や特定細胞加工物製造施設(以下、CPC)の選定のポイントなどを解説します。
はじめに
近年、患者さんから採取した脂肪から、細胞を取り出し、培養し増殖させ、注射や点滴により体内に戻す治療法を導入する医療機関が増えています。
これらの治療法は、再生医療等安全性確保法において第2種再生医療等技術に分類され、実施するためには再生医療等提供計画を管轄の厚生局に提出する必要があります。
申請手続きの流れについてはこちらに解説を掲載しております。
CPCの選定ポイント
1培養方法
患者さんから採取した細胞を増殖させるため、細胞増殖に必要な成長因子等が含まれた培地を使用しますが、いくつかの種類に分類可能です。
- ウシ胎児血清(FBS)
比較的安価で人を対象としない研究では一般的ですが、未知のウィルスなどによる安全性の影響が否定できないとされています。
- 自己血清
患者さん本人の血液から調整した血清を培地として使用する方法です。安全性は高いとされていますが、採血が必要なことや個人間のばらつきがあるとされています。
- 無血清培地
生体由来原料を含まず、品質的にも一 定なので安全面、品質面で最も優れた手法と考えられていますが、高価なことが欠点とされています。
2最終製品の納入形態
製造した細胞(最終製品)の納入形態主に以下のパターンに分けられ、それぞれメリットデメリットがあります。
納入形態 | メリット | デメリット |
---|---|---|
冷蔵 | 解凍工程がないため細胞加工物の品質(主に細胞生存率)を維持しやすいと言われています。 また、CPCから届いた細胞加工物を容器を移し替えることなく即座に治療に使用でき、医療機関における負担が少ないことがあげられます。 |
保存期限が短いため、予定通りに治療が行えなかった場合には再度製造または出荷してもらう必要があります。 |
冷凍 | 細胞を長期間保存することができるため、治療日の変更にも柔軟に対応できるというメリットがあります。 | 細胞の凍結保存や解凍洗浄のための設備投資が必要な場合があります。例、ディープフリーザー、ブロックインキュベーター、遠心分離機、クリーンベンチなど。 加えて、医療機関に到着してからの手技が煩雑となる場合があります。 |
3継代回数
継代(けいだい)とは、細胞培養において、ある培養容器から増殖した細胞を取り出し、新しい培養容器や培養液に移して再度培養する操作のことを指します。
一般的に継代回数が多いと少量の細胞の大量増殖が可能ですが、細胞の老化が進み、細胞の機能や増殖能が低下する可能性があります。一方継代回数が少ないと必要な細胞数の確保が難しい場合がありますが、細胞の老化抑制ができるため、元の細胞の機能を維持しやすくなります。
4採取脂肪量
CPCにより、採取が必要な脂肪量が異なります。少ないところで米粒1個分~20ml程度の脂肪採取が必要な場合があります。
5受託加工費用等
細胞製造にかかる受託加工料の他、細胞保管費用、配送費用などが別途かかる場合があるので、総額を比較することが大切です。
脂肪由来幹細胞治療の導入費用
脂肪由来幹細胞治療の導入方法や費用についてはこちらのページで解説しております。